渋谷区制施行80周年記念

田渕俊夫展

―いのちの煌めき―

2012年6月5日(火)~2012年7月22日(日)

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渋谷区に在住する日本画家田渕俊夫(1941~)は、圧倒的な技術と優れた色彩感覚で、日本画の素晴らしさを再確認させる作品を生み出し続けています。中心的な画題は、植物と風景であり、植物を描いた作品からはその可憐な姿の中に隠された生命のたくましさや連鎖に対する畏敬の念を見ることができ、風景を描いた作品からは悠久の時間に対する作者の感動を見て取ることができます。装飾的な画面の中には深い精神性が込められています。この装飾性と精神性が東洋画・日本画の特質であり、その意味では、田渕俊夫は日本画の長い伝承の正統的な継承者であるといえます。
田渕俊夫は、東京に生まれ、東京芸術大学・同大学院で日本画を専攻。大学院終了後、九か月にわたりアフリカに滞在、その間に写生に取り組み、以後の画風の基礎が築かれました。帰国後は、院展を主要な活動の舞台として作品を発表する一方で、愛知県立芸術大学で後進の指導にあたりました。その後、母校の東京藝術大学で教鞭をとり、永平寺や智積院の襖絵などの制作にたずさわるなどしました。東京芸術大学退官後も、日本美術院理事を務められるなどし、日中の芸術交流などにも尽力されています。
今回の展覧会では、田渕氏の45年におよぶ画業を振り返り、大学卒業後の初期作品から東日本大震災を目の当たりにして、鎮魂と再生を信じる気持ちを込めて描いた二点の新作及び鶴岡八幡宮の縁起絵巻まで、装飾性と精神性を特色とする田渕芸術の本質を語るにふさわしい作品33点を陳列いたしました。
なお、本展は渋谷区制施行80周年を記念したものです。

展覧会情報

会期 2012年6月5日(火)~2012年7月22日(日)
入館料一般300円 小・中学生100円
※60歳以上の方及び障がい者の方は無料
※毎週土曜日は小中学生無料
休館日6月11日(月)・18日(月)・25日(月)・7月2日(月)・9日(月)・17日(火)
主催 渋谷区立松濤美術館 東京新聞