生誕百年 安井仲治

―写真のすべて―

2004年10月5日(火)~2004年11月21日(月)

写真家・安井仲治(明治36(1903)年-昭和17(1942)年)の生誕百年を記念して、初めての総合的回顧展を開催した。
出品作は、ヴィンテージプリント約150点、1950年代のモダンプリント3点、および本展のためにオリジナルネガから作成したニュープリント約70点で構成した。ニュープリント製作はラボテイクが担当した。
安井自身が作成したヴィンテージプリント出品作では、新発見の重要作品11点を展覧することができた。最も力を注いだのは、これまでほとんど先行研究のない、年代特定・推定の調査である。本展でようやく安井の発表作品の年代的展開が概観できたことで、作家像が改めて浮かび上がってきたものと思われる。
出品したモダンプリント3点は、1950年頃、棚橋紫水が展覧会開催のために作成したものと推定される。これも、今回初めて確認された事項である。
また、ニュープリント作成は、現存しない作品で、発表作品として安井生前に出版物に図版が掲載されたもの、およびオリジナルネガの状態が比較的よく使用にたえるものに限って作成した。これまで何度か安井の死後ニュープリントが作成されてきたが、オリジナル作品のトリミングに厳密に従って行ったのは、今回がはじめてのことである。これにより、失われた安井の代表作の多くを蘇らせ、彼の写歴をふり返る上での重要な欠落点を補うことができた。
以上のように、本展はこれまでその全貌がヴェールに覆われたままでいた巨匠・安井仲治の写真家としての全貌を、できるだけ忠実に紹介することに努め、その任は果たせたといえる。写真関係者をはじめ、展覧の評価は高く、新聞評・雑誌特集などの反響も少なくなかった。

展覧会情報

会期 2004年10月5日(火)~2004年11月21日(月)
入館料一般300円 小・中学生100円
※65歳以上の方及び障害者の方は無料
※毎週土曜日は小中学生無料
休館日10月12日(火)・18日(月)・25日(月) 11月1日(月)・4日(木)・8日(月)・15日(月)
主催 渋谷区立松濤美術館 共同通信社
展覧会図録

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完売